Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】夜空はいつでも最高密度の青色だ 〜十人十色な生き方の受容〜

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TAMA映画賞作品賞受賞作品。

透明にならなくては息もできないこの街で、きみを見つけた。
悪い予感だらけの今日と明日が、少しだけ、光って見えた。


生きることを肯定されたような気がした。
どんな生活でも、生き方や考え方が変わっていても、他の人と違っていても・・・
生きることこそが尊く、それがどんな形であれ素晴らしく、肯定されるべきものであるんだと。

舞台は東京(渋谷と新宿)。
建設現場で日雇いとして働く慎二(池松壮亮)は、左目が見えておらず、仕事中、智之(松田龍平)と岩下(田中哲司)とアンドレス(ポールマグサリン)といつも一緒にいて話してはいるが、生きていくことへの不安は溜まっていく一方で、いつもせわしなくよく喋る。
日中は看護師、夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)は、やりきれなさや拠り所を見つけられないまま、毎日を何となく暮らしている。

どちらも作り笑いや嘘だらけに見える東京での日々に嫌気が差していて、自分の生き方を肯定的に捉えられず、悪い予感だらけの日々が続いていた。

慎二と美香は偶然ながらも何度も会うことになる。
美香といい感じになっていた智之が急死することで、2人はより接近することに。
お互いに自分は変だと言い合って、何となく認め合って、でも急接近するわけでもなく、近づいたり離れたりを繰り返す。

双方が、元彼や元同級生に「まだ愛している」、「愛していた」と言われ会うも、それ自体にも本気度を感じられずに、やっぱり慎二と美香は選んで2人で会うようになっていく。

最後は、慎二と美香がお互いを受け入れ合い、悪い予感だらけだと感じていた日々に、光が入り、希望が見えてきて、話が終わる。

この映画には対比されるものがたくさん共存していて、それこそこの世の中の状態がうまく表現されていた。
「生と死」、「光と闇」、「余裕と不安」、「都会と田舎」、「広い世界と狭い世界」。

慎二も美香も不安を感じて生きているが、自分とは関係ないことをも考えてその人のために何かをしてあげようとする余裕もある。
優しい人間だが、向上心は特にない。

みんながみんな、同じように夢を持ち、夢に向かって頑張り、輝ける世の中ではない。
東京で消耗していく人もいるし、陰でずっと頑張っていてもなかなか報われない人もいるし、本当に色んな人が生きている。
そんな中で、一つの生や死にみんなが着目しているわけではないが、大きい世界の中でも小さいその一つ一つが誰かにとっては特別であることが、丁寧に描かれていて、そんな普遍的なことを伝えられたような気がした。

幸せなのかも、何が楽しみなのかもわからず暮らしていく日々の中でも、小さな楽しみができることで、少しずつだけど生きることに希望が湧いてくるし、光が見えてくる。
だからとにかくどんな状態でも生きよう、生きなければならない。

そして恋愛は、良いものでなくもあり、良いものでもある。
本当に好きになる気持ちとか拠り所になれたりとか…幸せを度外視して、一緒にいたいと思い合える関係の恋愛ってすごく素敵だなと思った。
居場所があるだけで、受け止め合える人がいるだけで、闇だらけの中に、少しだけ光が見えてくる。

池松壮亮石橋静河の2人の世界がとてもよく好きになった。
また、松田龍平田中哲司とポールマグサリン
脇を固める俳優陣の演技もよく、オーバーフェンスを彷彿とさせてくれた。
そんな自分は青色が大好きです。