Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】彼女の人生は間違いじゃない 〜光に手を伸ばす〜

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光に手を伸ばす。

映画を最後まで観たあとに、「彼女の人生は間違いじゃない」のタイトルがしっくりきた。
「彼女の人生は正しい」でもなく、「彼女の人生は間違っている」でもなく、「彼女の人生は間違いじゃない」。
人生が正しいかどうかなんて人それぞれが感じることだが、間違いじゃないとは言い切れる。
そう思えた映画だった。

東日本大震災から6年が経った今も、それぞれの形で復興や自分を取り戻していくために、もがきながら頑張っている人がいる。
東日本大震災により、大切な人を失ったり、親友を失ったり、母親を失ったり、家を失ったり・・・

そんな人たちが、色々な立場から前向きに生きていけるように、少しずつでも前に進んでいく過程が描かれている群青劇。

東日本大震災により、家と母を失い、仮設住宅で父(光石研)と二人で過ごすことになったみゆき(瀧内公美)。
父が妻を失ったことからなかなか立ち直ることができず、パチンコ暮らしの日々。
みゆき自身は市役所で勤めていたが、変わらない日常と自分の存在意義や自分だけが生き残ったことからの罪悪感からか、前向きに日々を過ごせていなかったように見える。
何かもやもやしたものが、ずっと彼女の中にあるような、そんな冒頭。

そんな自分を変えるために、自分の存在意義を見つけるために、自分が生きる実感を得るために、自分が必要とされている実感を感じるために、みゆきは週末に東京(福島と東京を行き来し)でデリヘルでアルバイトをすることになる。

ゆきの覚悟とよそよそしさが表情や仕草から、すごく伝わってくる。
「これで大丈夫なのだろうか・・・」迷いながらも、少しずつ自分を取り戻していくような、そんなみゆきの姿に感化された。

彼女をスカウトした三浦秀明(高良健吾)は、デリヘルのスカウトと運転手、守り役を勤めていたが、彼自身その仕事のことを好きとは言っていたものの、これからどうしていくか、悩んでいたように序盤から見えた。
まさか最終的に、演劇役者になっていたのは予想外だった。

車の中での二人の会話、そこまで多くなかったが、お互いがお互いを信頼しているような雰囲気が印象的。

さらにそのみゆきを取り巻く周りの環境、人がもがき生きていく姿。
市役所で働く新田勇人(柄本時生)、妻を亡くしたみゆきの父の修、みゆきの元彼で震災時での行動に悩んでいた山本健太(篠原篤)、福島に住んでいたことから情がありカメラマンとして訪れていた山崎沙緒里(蓮佛美沙子)、今を生きることに精一杯で夫はひたすらに仕事をしないと家族を養えずなかなか夫婦としての時間をとれない男女。

生きにくさはあるものの、自分なりの生活や幸せを掴むために、環境のせいにするのではなく、精一杯前を向いて生きようとする姿がとてもよかった。

人生どこで生きていても、どんな状態でも、どんなに恵まれている環境と言えども、何かしらの生きにくさや目を背けたいことが一つや二つ、いやそれ以上出てくることもある。
それでも前を向いて生き抜いていくことが大切なんだなと思わせてくれた。

人間関係、仕事、日々の付き合い、環境、喪失感、無力感、頑張れない日々、いたたまれなさ、承認欲求の満たされなさ、自己肯定感の低さ…感情や心を持っている人間だからこそ悩むことが出てきて、ときに逃げ出したくなることもある。

あらゆる定量的にどうか、がはかれないものがあり、それは個人の解釈によっても異なる。
自分が自分でいられたら、日々が少しでも楽しいと思えたらそれでいいはずなのに、境界線が不明確な「もっとこうあるべき」みたいな重圧が人が生きるのをより辛くさせている。

この映画はそういう世の中に解放を与えてくれている気がする。

終わり方が好きで、それこそ「恋人たち」みたいな前向きな温かさに包まれた感じで終わっていったのが救いだったし、嬉しかった。
「誰の人生も間違いじゃない」というあらゆる人に対しての肯定。

瀧内公美の表情で訴えてくる演技がよくて、観入ってしまいました。
少し脱ぎすぎ感はあったけど…。
覚悟も相当なものだったのがわかる。
高良健吾は、売れっ子になってきているのに、こういう作品に出てくれるのが好感持てる。
しかも役柄がバッチリ合ってる。
光石研柄本時生、篠原篤に至っても、相変わらずああいう役が合うからよい。
世界や雰囲気がしっかりできている。

前向きに生きよう!