Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】地獄の黙示録 〜ベトナム戦争を芸術に変えてしまった映画〜

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体調が悪いときに観るべき映画ではなかった。
内容が難解でまさに地獄絵図、狂気な世界が広がる202分。

作中ずっとベトナム戦争下での話ではあるが、前半と後半でまるで内容が違ったように見える。
でも、これは隊長からの命令を遂行するまでを描いているだけで、それがこんなに壮大で長く難解でベトナム戦争の狂気を交えながらしっかりとストーリー展開されていく。
そこには監督自身のこの映画に対する本気と芸術家としての覚悟が伝わってきたし、これは物凄い映画だと思った。
なんと、映画の制作費は3100万ドル(日本円で約90億円)である。

アメリカ陸軍空挺将校のウィラード大尉は、妻と離婚してまで再び戦場に戻ってきた。
彼は、要人暗殺の秘密作戦に従事してきた経験が豊富だった。
その実績を買われて、サイゴンのホテルに滞在中、アメリカ軍上層部に呼び出され、元グリーンベレー隊長のカーツ大佐の暗殺指令を受ける。
カーツは、アメリカ軍の命令を無視して暴走し、カンボジアのジャングルの中に独立王国を築いていた。

ウィラードはその指令のことを他の乗組員に伝えずに、大河を目的地に向かって進んで行くことに。
その途中で、ウィラードはベトナム戦争の様々な狂気を観ることになる。
基本的には、ウィラード目線で話が進んで行くので、その目線で見ていくことで、独特な狂気的世界に入り込んでいけるような気がする作品だが、もう何が何だかって感じなので、思うように感情移入はできない。

戦争という厳しい状況下であるのに、サーフィンをするために、ベトコンの前哨基地を襲撃する第一騎兵師団の指揮官。
ジャングルに突如として出現したプレイメイトのステージ。
指揮官抜きで戦い続ける最前線の兵士。
そして、麻薬に溺れ、正気を失ってゆく哨戒艇の若い乗組員たち。

その中で、ウィラード自身も平穏を保てなくなっていくのが伝わってくる。
やっとカーツ大佐のいるカンボジアのジャングルに着き、彼の創った独立王国の思想などを訴えられ動揺するが、水牛の儀式の日にカーツを殺害して今作は終了する。

今作はベトナム戦争の狂気とアメリカ側の身勝手さをベースに描き、その戦争のありのままを伝えることとその戦争下の背景にある人間模様と常軌を逸してしまう様を描写として描きたかったのではないか、と個人的には感じた。

ただの戦争映画ではなかったし、むしろ戦争映画なのかというくらいサイコ要素の強い映画だった。
まあそんなサイコになり得るのが戦争だということの裏づけな感じもする。

さらにその狂気をより助長するかのように冒頭とラストに鳴り響く、The DoorsのThe End...
この曲は、父親殺害および母子相姦の内容を持つ歌詞。
それこそこの時代の閉塞感とどうしようもない状況、環境から来る自身の無力さ、そこから精神崩壊寸前にまで至るジムモリソンが創った狂気的な彼独特の世界観の音楽であり、BGMの雰囲気(曲の感じ)と歌詞の意味を考えながら読んで、この映画と照らし合わせてみると、本当によい働きをしていると感じます。
(実際にベトナム戦争下で、この曲を聴いていた兵隊は多かったそうです。)
ドアーズの曲は、全然理解できないが、なぜか惹き込まれる。
どんよりな気分のときは特にだから色んな意味で怖い。笑

きっぱり好き嫌いはわかれると思う。
実際評論家の間でも賛否両論きっぱりわかれているみたいです。

まあでも、この映画が賛否両論きっぱりわかれるのは、ある意味当たり前だと感じる。
芸術というのはそういうものだと思うし、この映画はベトナム戦争を自分のものにして、自分の表現したい芸術(世界)に変えている。

戦争という題材を作品にする場合、基本的にはその戦争と当時の背景や環境に向き合い、戦争に対しての何らかの答えを創る側が作品を通して表現していくものが多く、それが正義とされてきており、戦争という題材を扱う上での礼儀みたいなものだとされている感がある。

だが、今作ではその側面がほとんど皆無に近い。
さらに伝えたいことが難解すぎるのと独善的すぎて、不可解な部分が何とも多い。
だからこそ、冒頭にも記載した通り、芸術家としての覚悟と本気をこの映画には感じました。

まさに「地獄の黙示録
芸術は爆発だ!!