Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】ラストレシピ ー麒麟の舌の記憶ー 〜過去と現在、実は繋がっているそれぞれ、壮大な物語〜

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キャスト(特に真骨頂である献身的妻役の宮崎あおい)目当てで鑑賞。

物語が本当に壮大で、じわじわと沁み渡ってくる大作。
純粋に感動できる素敵な物語。

今作が実話だったら本当にすごいなーと思ったけど、どうやら実話ではないみたい。
まるで実話かのように作られている演出もよかった。

このように誰かの歴史を紐解いてみたり、実はそれがたくさんの人と何かしらの形で繋がっていたりするのを見ると、自分の祖先の歴史も紐解いてみたくなる。
大なり小なりはあると思うが、今とは全く異なるような環境の中で、どのようにして生きていたのか、そこにどんな物語があったのか、何かしらの心動くものがあったんだろうなと感慨深くなる。

今作は、佐々木充(二宮和也)を取り巻く過去や周りの過去を映像を通して掘り下げることによって、料理をする上で、いや生きていく上で大切なこととは何か、を訴えている。
人には色んな当たり前があると思うが、その当たり前の裏にはたくさんの犠牲、歴史、物語がある。

それを理解しながら生きることと理解しないままに生きることは、生きていく意味や生き方が大きく変わっていく。
小さい頃から愛に触れずに育っていたと勘違いした充は、自分しか信じることができない大人に育ち、本当に大切なことを見失ったまま、生きようとしていた。

料理人たるものは、一人で思い悩み、最高級の料理人に達する者であるという持論は、彼自身の物心ついたときの環境や思い込みから成り立っていたものであることがわかる。

そんな中、充は最期の料理人として、ある依頼を頼まれることになる。
それは、かつて充と同じように一度食べたものは忘れずに再現できる「麒麟の舌」を持つ男と称されていた山形直太郎(西島秀俊)が完成させようとした「大日本帝国食菜全席」を作って欲しいというものであった。

どこにレシピがあるかわからない中、山形直太郎と縁のあった色んな人に話を聞きに行く充。
聞くことでどんどん露になっていく当時の真実。

山形直太郎は、料理人として「料理を通して、世界中の人を幸せにしたい、笑顔にしたい。」、また「料理を通して世界中の人を繋げたい」と本気で理想を掲げて料理を作っており、妥協は決して許さない人であった。

それを支える妻千鶴(宮崎あおい)。
独りよがりになりそうな直太郎の転換になるような言葉を投げかけたり、献身的に直太郎を支える理想の女性像であった。

自分に才能があって、目指すものが大きければ大きいほど、周りを頼れなくなり、一人で思い詰めてしまい、目指している理想に離れていく。
そんな直太郎の葛藤、妻の死をきっかけにそこに真剣に向き合うことになり、周りを信じるようになった。

鎌田正太郎(西畑大吾)、楊晴明(笈田ヨシ)とともにやっとの想いで完成させた「大日本帝国食菜全席」には、実は裏があった。
それは、直太郎の理想とは完全に背く者であった。

彼はそれを許すことができず、彼なりにそのレシピに決着を着けたのである。
それに伴う様々な真実を知った充は、明確に料理への向き合い方が変わる。

誰かに支えられたり、誰かと理想を追いかけたり、一人では決してできない大きいことがあること、そしてその素晴らしさを知った充は何か背負っていた重いものから荷が降りたかのようにすっきりしていて、充実しているように見えた。

人は一人では生きていけないとは言うものの、それをイメージするのは難しいし、そんな当たり前のことを生きていく上ではあまり深く考えない。
正直それでもいいんじゃないかと思うし、実際ある程度大人になれば、一人でも生きていくことができる世の中に成りつつあるのが現代でもある。(もちろん対顧客あっての話ではあるが・・・)

それでも誰かと理想を追いながら生きることは、それだけで充実した人生に繋がるんだなと心が動く作品。
実は気づかないところで周りに支えられながら、心配されながら生きていけていることに気づかないのが人間で、自分自身もそうなってしまうことが多いけど、それが当たり前になって過ごせるような環境は素敵であることに改めて気づけた。

そして、実は色んなところで人は繋がっていることを裏メッセージとしても伝えられたような物語の流れ、伏線の回収、エンドロール。
個人的には好きな展開で、じわっときました。
そんな事象を知るタイミングもとても大事。

キャスト、宮崎おおい目当てでしたが、それ以外もかなりハマっていてよかった。
綾野剛は本当にどんな役でもいけますね。すごすぎます!