Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】サニー32 〜コメディに社会問題風刺〜

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白石監督にキャストにピエール瀧リリーフランキー門脇麦ということで、期待して鑑賞。
凶悪において、実話をもとに様々な人間の鬼畜さを表現した白石監督であるが、今作も実話をベースの作品である。

今作は、2004年に佐世保在住の小学生6年生の女の子が同級生をカッターで切りつけた事件のその後を白石監督なりに、発展させて描かれている。
ストーリーは完全にオリジナル。

幼き頃に殺人を犯した通称サニー32を神格化することにおける執着、承認欲求が満たされないこと、ネット社会であることから広がり虚構から真実が生まれる様など、様々な現代だからこその問題に切り込んでいる作品。

中学校の教師である藤井赤理(北原里英)は、教師である日々に特に大きな不満を持つわけでもないが、満足しているようでもなく、淡々と日々を過ごしていた。
そこで誕生日を迎えるある日、幼い頃に殺人事件を犯して神格化されている通称サニーと間違えられ、ファンの柏原勲(ピエール瀧)と小田武(リリーフランキー)に拉致される。

拉致された藤井赤理は、サニーであると決めつけられ、サニーを演じることになり、柏原勲と小田武はサニーを神格化しているファンたちのいる掲示板に動画を流し、その人たちを集めて、儲けようとしていた。
(ただ、儲けることを理由に拉致したようには見えないし、理由はサニーへの他ならぬ愛であった)

サニーの動画が流されることにより、情報はすぐに拡散されていき、サニーでないと訴える藤井赤理の声は無視され、嘘が真実に変わっていく。
これはネットやSNS社会での怖さである。

そこにまさかのドローンが登場、隠れていた身元がバレてしまい、別の場所に変えるが、そこもバレる。
そのストーリーの中で、サニーを神格化することが目的となり、サニーをディスったら殺される、サニーに何かしようとしたら縛られると、だんだんとやばくなってきている感が伝わってくる。

ドローンを操作していたのは、今で言うyoutuberみたいな様々な動画を世に出して、たくさんの人に見てもらうことを職としている者であり、サニーをかくまっていた者全員をスタンガンで気絶させる。

今まで優位な状態であった柏原勲と小田武は縛られて完全に身動きが取れない状態に。
藤井赤理が初めて優位になった状態で、彼女の心に火がついた。
そこにいる全ての人に対して、今まで隠していたことを発言させ、懺悔を求めていき、更正を求めてまわる。
いわば公開処刑のような形ではあるが、視聴者はこういったことへの食いつきがすごく視聴する人が急増する。
現代でいう「バズる」状態になっていた。
一番じんわり来たのはまさにこのシーンであったし、これは転換点でもあった。

DV(暴力)という間違った愛の表現、自らの手を汚さずに誰かにすがりながら自分の欲求を満たそうとしていること、自分のものにしたいがためにやってはいけないことをしていたこと、愛を適切に受け止めなかったことなど、現代の様々な問題とも言えることを露わにしそれをディスって最後に変わろうとその人自身を受け入れるように抱き締める。
そんな姿にさらに彼女がサニーとして、世に広がっていき、完全に神格化されるようになっていく。

そこで、藤井赤理をサニーと信じて神格化していた者と藤井赤理がサニーかどうかはどうでもよくなり彼女自身を神格化して信じていく者とが二分していくようになる。
完全にサニーと化したかのように、サニーのいいとこ取りをしていたとき、もう一人のサニーと名乗る者が登場する。
それが、門脇麦演じる二人目のサニーであった。
さらに炎上していくネットがリアル。

二人目のサニーは、藤井赤理がサニーのいいとこ取りをしていることに不満を持っているように見え、自分が過去に行ったことを反省しまくっているのに、罪悪感が消えることもなく、生きているのに辛さを常に抱えているように、「どうせなら全て変わって欲しい」と藤井赤理に告げる。

その裏では、藤井赤理の生徒である向井が、集団にハブられていることで、悩んでいて、小学生の殺人事件が頭によぎり、サニーと同じような行動に至ってしまうのではないか、と思い、それを止めるために二人目のサニーに答えを求めようとするが、答えが出ない。

その後、二分してしまった集団が仲間割れをしたり、警察に追われたりと状況がぐちゃぐちゃになり、生きる人と死ぬ人が生まれ、向井は何とかハブられた友人たちを殺すことなく、映画がエンドを迎えた。

そこまで重くはない作品ではあったが、強烈な衝撃を受けた作品であり、この非現実的なストーリーの中に、社会問題のあれこれをよく詰め込めたなと思った。

ただ、色々と散りばめられすぎていて、作品自体のまとまりに欠けていたこと、今までの作風から重厚な重めの描写を期待していたが、コメディタッチに寄り過ぎていて確固たるメッセージ性みたいなものを感じられず、そこが想定とは違い微妙だった。

白石監督自身が、好きなキャストを集めて、やりたいことを思いっきりやり切ったような作品でもあるような感じがしたので、なかなか振り切っていたなーという印象。
本当はこんな作品が作りたかったのかな・・・

北原里英が映画初主演ということですが、意外ととても好演で、今後の女優業に期待大。