Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】ラッカは静かに虐殺されている 〜我々が勝つか 皆殺しされるかだ〜

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ラッカは静かに虐殺されている(City of Ghosts)


我々が勝つか 皆殺しされるかだ


2018年観たかったのに観れなかった作品を鑑賞しよう第四弾。


故郷のラッカをISISに奪われて、その残虐な彼らを世界に広めて追い詰めるためにありのままを発信することを手段に結成した匿名の活動家団体であるRBSS(ラッカは静かに虐殺されている)のドキュメンタリー映画


シリアを脅かすISIS、イスラム国のことについては、どこか遠い国のこととしてそこまで深く知ることを今までしてこなかった。

たまにニュースで流れていたけど、どこか他人事として捉えてしまっていた自分がいた。


最近ではジャーナリストの安田純平がシリアに赴き、拘留されていたことで、よりニュースで頻繁に見るようになり、より現状や惨劇をリアルに知ろうと思い、今作を鑑賞。


今まで観てきた何よりもリアルにISISによるテロがそこには映し出されていた。

イスラム教という唯一絶対の神を信仰して、教えを全うすることを正義の盾とし、それをよいことに何の罪もない人が虐殺していく無惨さは本当にとんでもない。


途中安まるシーンがあったからよかったものの、あんな惨劇をずっと見せられていたら感覚がおかしくなってしまいそうだった。


ISISは、武力を行使することで、半ば強引にイスラム教の信仰者を増やしていき、思ったよりも早く勢力が拡大されていき、その巻き添いは純粋無垢で無知の子供にまで及んでいた。

子供は何が正しいかも判断できず、初めて耳にしたことで判断せざるを得ないため、ISISにとっては扱いやすい人間の一人にしか過ぎないのである。


勢力拡大に伴って、その国自身の武力で彼らを制圧することができないし、近くに居ては危ないと判断したRBSSがとった戦略は故郷のラッカを後にしてトルコやドイツへ逃げ、スマホを武器に、SNSを駆使して情報をオープンに発信し続けることであった。

そういう意味でも、誰もが発信できるSNSの功績は本当に大きくて凄いのがわかる。


その発信される情報をもとに映し出される映像がまた生々しく、言葉に表すことのできない一つの世界を見せつけられる。


ISISが入る前は、争いなんて全くない平和で楽しげに暮らしていたラッカの人々の生活が一気に崩されていくのである。

本当に無作為にゲームかのように人が殺されていくシーンには思わず目を疑った。


また、遠くに離れたといっても場所をすぐに突き止めてくるISISのメンバーを相手にRBSSのメンバーの心は安まることはほとんどない。

それでも相当な危険を冒しながらもなお、故郷のラッカを救うために行動し続け、希望を消さずに向き合い続けられる強さを持つ彼らが本当に凄いと思うし敬服する。


頭がよく能力も備わってるテロリストが倫理観なく行動を起こすときは、抜け目もないから本当にとんでもなく危険である。

日本でもオウム真理教を代表に、そのようなテロリズムが全くないわけではないから怖いし、本気でそれが正しいと思ってやってるからなおさら怖い。


いかに倫理観を養うか、いかに誰かを陥れることなく自らで幸せを切り拓いていくか、どのように過度に被害者扱いをしないようにするか、誤った正義を持たないようにするか…本当にこんな現実が起こっているなら、その現状を少しでも変えるためにも、増やさないためにも、もちろん自分が絶対そうならないためにも考え続けないといけないと感じさせられた。


こんな世の中で正しいことが何かはわからないが、明らかに誤っていることはわかるはずで、それは減らしていかないといけない。


日本も少なからずこのような問題を他人事にできるような国ではないと思っていて(自殺や殺人が多く息苦しさを感じながら生きている人が多い背景も踏まえて)、それがまた恐ろしさを増幅させる。


殺戮も支配も争いも権力も利権も悪しき考え方もよくない宗教も…人が生きていく上で誰かが負の感情に陥ること全てがなくなればいいのに。

なぜこうなってしまうのかが本当にわからない。


でもこのタイミングで今作を鑑賞できたのはよかったと思います。

物凄く誠意と正義感と覚悟を感じられる作品でした。