Cinema Life Career

映画紹介を中心に、仕事観やキャリアについてなど、世界観や見えていること、日常の中で感じていることを徒然なるままに綴っていきます。

【映画】21世紀の女の子 〜21世紀の女の子に捧げる挑戦的短編集〜

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21世紀の女の子

21世紀の女の子に捧げる挑戦的短編集

上記の共通テーマをもとに15人の女性若手映画監督による短編15篇で構成されるオムニバス形式の作品。

想像していたものを超える若者ならではのエモさが全体的に広がっていて、突き刺さっても来るしじんわりも来るし、本当に色んな感情と思考が行き来する、まさに映画的美術館に入ったようなアーティスティックな世界観だった。

その中で描かれてるのは女性の心の機敏や普段の生活だとなかなか出てこない内面。
あらゆる立場や人、状況下でのそれらが脚本と演出でしっかりと表現されているのが印象的だった。

以下、各作品の簡単な考察です。あくまで主観で捉えたものです。

#ミューズ
出会いは偶然。美しく頭のよさそうな表面とはうらはらに、破天荒な裏がある中村ゆり演じる女性に、いつの間にか惹かれて好きになっていた石橋静河演じる主人公。
好きという感情はわからないとよく言われるが、それは亡くなってしまった瞬間に感覚的に腑に落ちていくのか。

#Mirror
好きが先に来てるのか、自分の目的が先に来てるのか、はたまたそもそも好きと言えるのか。
瀧内公美演じる主人公の女性が朝倉あき演じる好かれていた女性との相対により、徐々に意図して隠していた諸々を抉り取られていきつつも、本当の想いは結局わからない。
恋愛のかけ合いにもやもやが残る終わり方。

#outoffashion
自分の将来に悩むファッションの専門学校に通う一人の女性。
読者モデルとして巷で話題になってきていたとき、自分のやりたいことと向いてそうなことのどちらを選ぶのかに悩み葛藤していく様が描かれている。
昔好きだった男と一緒に夢を追いかけると信じていた友人の心変わりが、より向かう先を悩ませ、一つの才能に現実の重さがのしかかる。

#回転てん子とどりーむ母ちゃん
少女の夢の中では、あらゆる母の本音合戦が繰り広げられていた。
表では決して露わにならないその裏を意外と子どもは見抜いてるんですよと言わんばかりのホラー要素をやや感じる作品。
この悟ってる感が後味の悪さを助長する。

#恋愛乾燥剤
人のある一面を見て惹かれた好きは、いざ付き合うことになったときに、現実(普段)の彼のギャップに幻滅を抱く。
それとは裏腹に自分に惹かれてくる男に嫌気がさしつつも、結局惹かれた彼を見てはまたハッとなるの繰り返しが恋愛なのか。

#projection
撮られることへの切望とそれが叶うことの喜びの表現、そこから過去を反芻していくシーンに綺麗に流れていくのはさすがにエモかった。

#Iwannabeyourcat
好きな人に飼われてるように好きな人の理想のために生きている女性とその意識のない自分中心男性の一幕。
何を話してもわかり合えなくても、好きだったら離れられないものであろうか。

#珊瑚樹
女性の三角関係。
複雑に入り乱れるかと思いきや、3人に別れが訪れようとすることで、意外とあっさりと終わるのか、と思いきやあのラスト。
見せかけのものでも相手が本気にしちゃったらそこからは逃れられない。

#愛はどこにも消えない
自己肯定感の先にあるのは、幻想の好きでいてくれる誰か。
自分を好きになり切るために幻想を捨てきれない美女は生きる過程において、現実と向き合い、その幻想と決別する。あくまでも自分を好きなままで。それも成長。

#君のシーツ
結局好きなのは彼ではなく彼女。
「自分が男だったらよかったのに」と、夢にそのもしもを思い描くまでに、その人のことを好きになってしまったのなら、もうそれは決して忘れられないのではないか。
それを思い起こさせる君のシーツ。

#セフレとセックスレス
セフレから何かが生まれるのか。
好きになってはいけない人を好きになってしまったあとの末路は、何も決別だけではないことを描くことで、セフレのその先に希望を見ているように思えた。

#reborn
付き合っているときに抱く好きな人との差、明らかな劣等感からそれを自分で消化できない人は相手に破壊を求めてしまう。
本当に必要とされているのかどうか、という意味でのその場における自己肯定感がないと、恋愛って難しいんだろうか。

#粘膜
好きという感情を廃してるように色んな男とひたすら寝る女性と開き直れずに愛し愛されることを望む女性の対峙。
噛み合うはずがないのが、妙に噛み合っているように見えるのが不思議。

#離ればなれの花々へ
圧倒的。全作品を走馬灯のように駆け巡り、包み込みながら全てを持って行く。
設定は生まれる前の女の子。3人がいかにして生きていくかについて、答えなき答えに行き着こうと、ひたすらに持論を展開し合う。
中でも孤独の質に対して言い合ってるシーンは、物凄い深いところに入ってきた感じ。
人間は基本的に孤独である前提で、その孤独をいかに豊かなものに仕上げていくか。
詩的で意味深な言葉のラッシュと反復が非常にエモーショナル。
唐田えりかが特に映える!
あと10回は観たい。

#エンドロールアニメーション
物語は見るだけじゃなくて自身で作り上げていくもの。
物語を作ろうと奮闘していたら引き上げてくれる人がいるよという優しさが詰まったエンドロール。

#映画 #21世紀の女の子 #山戸結希